学 名 |
Delphinium x cultorum |
別 名 |
オオヒエンソウ(larkspur) |
科 名 |
キンポウゲ科オオヒエンソウ属 |
特 性 |
大半の品種は秋まき1年草(詳細は本文を参照) |
原産地 |
北半球の温帯に原生する原種、数種に由来する園芸種 |
和 名 |
大飛燕草 |
花言葉 |
清明、陽気、慈悲、軽やかさ、あなたを慰める |
|
|
☆デルフィニウムとは |
ふつうデルフィニウムといえば、デルフィニウム・エラツム(Delphinium elatum)を中心に改良、作出された園芸種(D. x cultorum)を指します。また、広義ではデルフィニウムを含むデルフィニウム属(オオヒエンソウ属)の植物すべてを指してデルフィニウムと呼びます。
デルフィニウム属を含むキンポウゲ科は、萼(がく)が花弁状に色づき、本来の花弁を欠くものが多いのですが、この属も花弁状に目立つのは色づく萼片です。真の花弁は花の中心部に4枚あり、どこか八重咲きに見え、また花弁が萼片の違う色を示して目があるように見えます。上側の花弁2枚は小さく蜜腺に変化し、後ろに突き出る距(きょ)に蜜を溜め、最上部にある萼片も2本の距を包み込むように距を発達させています。下側の花弁2枚は大きく目立ち、蜜の在りかを示す蜜標の役目を担います。いっぽうチドリソウの仲間は、蜜標にあたる花弁がなく、蜜腺となる2枚が癒合しており、ヒエンソウ属(Consolida)に分類されます。園芸上は、このヒエンソウ属も含めてデルフィニウムと呼ぶことが多く、ここでもその慣例に従い、紹介します。
|
☆来歴と種類 |
デルフィニウム属は北半球の温帯に約320種が原生し、ヒエンソウ属は地中海沿岸から中央アジアにかけて43種が分布します。前者は多年草ですが、後者は1年草です。それらは、次のように識別されています。
*パシフィックジャイアント系…パシフィックジャイアントに由来する大輪の品種群です。元もと高温多湿に弱い多年草ですが、秋まき一年草に改良されたパシフィックジャイアントが導入され、日本でも普及しました。草丈は50cm前後から2mを超えるものまであり、一重咲き、二重咲き、八重咲きがあり、花色は青色や藤色から白色までと、多くの品種が生まれています。
*シネンシス系…デルフィニウム・グランディフロルム(D. grandiflorum)を中心に改良された品種群です。鉢物や花壇向けに矮性品種のドワーフバタフライが知られますが、最近はシネンシス系の名前で切花として普及しました。ふつう目立つ距がありますが、距を欠く品種もあります。
*ベラドンナ系…デルフィニウム・エラツムとデルフィニウム・グランディフロルムの交雑から生まれた品種群です。切花で普及し、頂萼片の大きな距が目立ちます。
*原種系…デルフィニウム属は青系の種類が大半ですが、赤色の種類としてヌディカウレ(D. nudicaule)とカーディナリス(D. cardinale)、黄色の種類はザリル(D. zalil)が知られ、種子も販売されています。
*ラークスパー系…デルフィニウムの英名もlarkspurですから、紛らわしいのですが、ヒエンソウ属(Consolida)のチドリソウ(C. ambigua)やルリヒエンソウ(C. regalis)に由来する品種群をラークスパーと通称しています。最近は、シネンシス系の普及に伴い、切花生産は減少していますが、花壇ではこちらのほうが栽培しやすく、普及しています。 |
【ベラドンナ系】 |
☆育て方 |
いずれも高温多湿に弱いことから、寒冷地を除き、秋まきで育てます。
デルフィニウムの発芽適温は15〜20℃、高温では発芽しません。関東地方ならば9月下旬から10月上旬に、種まき用の用土などに薄くバラ蒔きし、種子が隠れる程度に覆土します。発芽後、本葉2枚ほどに育ったときにポットなどに移植し、本葉が5〜6枚になったころに定植します。耐寒性は強く、戸外で冬越ししますが、大きな葉が傷まないように防風が必要です。じょうずに育てるポイントは、秋にしっかり育てることです。移植時に根を傷めないこと、育苗時は肥料をきちんと与えましょう。
ラークスパーの場合は、直まきがおすすめです。発芽適温や播種時期はデルフィニウムに準じますが、移植に弱く、花壇や鉢に直まきし、発芽後に間引きをして育てます。 |